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栃木県小山市

小山市、予算編成方針、一般会計620億規模、総合計画計上事業を優先

2020/11/05 日本工業経済新聞(栃木版)

 小山市は4日、2021年度予算編成方針を市議会に説明した。一般会計の規模は約620億円を想定し、普通建設事業費は総合計画実施計画に計上した事業を優先する。実施計画上の新規事業については、各部の要求上限額に上乗せ措置するという。道路、公園、学校施設の維持補修は可能な限り予算を配分する姿勢を示した。

 21年度は25年度までの5カ年間を見据えた「第8次市総合計画」がスタートし、社会情勢の変化に対応した持続可能なまちづくりの着実な推進を図る。市税収入は28億円減の約266億円の減収を見込み、今後の経済状況次第ではさらなる減収も否めない。

 19年度決算では歳入の根幹となる市税が過去最大の294億3000万円。県内14市中で上位を記録。歳入総額に占める自主財源の割合は県内1位の61・9%(平均49・7%)。財政力指数は2位の0・978(平均0・814)の自立的な財政運営を堅持。

 一方で標準財政規模に占める財政調整基金の割合は最下位の3・8%(平均13・4%)。負債の将来負担比率は12位の60・2%(平均4・4%)と堅実性を示す数値が低い。20年度は感染症対策で基金を取り崩し、残高は10億7000万円まで低下した。

 一般会計の規模は過去最大の673億5000万円だった20年度とは一転し、かつてない厳しい状況。豊田中学区新設小学校建設事業や豊穂川流域等排水強化対策事業に加え、デジタル化、地方創生推進、老朽化した公共施設の長寿命化と緊急修繕に対応する。

 市民サービスの水準を維持し、市民に最も身近な基礎自治体の責務を果たす。第8次市総合計画に掲げる諸施策、感染症拡大防止対策、様々な活動を両立する「新たな日常」に向けた取り組み、疲弊した市内経済の回復を最優先課題に編成する。

 7月に就任した浅野正富市長は「事業の選択と集中」「速やかな財政の健全化」「市民が求める政策の実現」「田園環境都市の魅力を生かしたまちづくり」「徹底した市民対話と連携」を表明。新総合計画の将来都市像に「ひと」「まち」「くらし」がいきいきを掲げた。

 ①SDGsとの一体化②Society5・0の実現③国土強靭化地域計画との一体化④新しい生活様式の定着-を新たな視点に加え、事業継続の可否や再構築の可能性を十分精査の上で要求。その際、必要ではあっても緊急性の低い事業は先送りする。

 国や県支出金のほか、民間とタイアップ可能な事業は寄付や協賛金の協力を依頼。企業版ふるさと納税やクラウドファンディング手法を活用し、財源を確保。整備年度が決まっている交付金事業は継続し、新規事業は国や県の制度改正や補助率の変更を注視する。

 特別会計は一層の経営効率化と合理化に努め、一般会計からの繰入金を圧縮。企業会計は独立採算の原則を踏まえ、営業収益の増加とともに一般会計からの負担金を縮減。出資法人については財政支援を前提とせず、各主管課が自立的な経営基盤確立を促す。

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