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栃木県足利市

足利市、災害廃棄物処理計画案、復旧工事を迅速化、市建設業協力会らと連携

2020/11/07 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、災害廃棄物処理計画案をまとめた。災害に伴う廃棄物を集積・保管する1次仮置き場を被災地域内、1次仮置き場の廃棄物を集約する2次仮置き場を公有地(必要面積16・4ha)に設置。種類や性状に応じ破砕・選別や中間処理し、再生利用または最終処分する。分別方法は初動期に周知する。12月には成案を仕上げる。

 昨秋の東日本台風では、市内の災害廃棄物は約4000㌧が発生。一度に大量に発生する災害ごみは生活環境や公衆衛生への悪影響が懸念される。火災や感染症発生という2次災害を未然に防止し、復旧復興工事の妨げになる災害ごみを適正・円滑・迅速に処理する。

 処理対象廃棄物は仮設トイレし尿、被災住宅排出生活ごみ、避難所ごみ、道路復旧や救助活動に伴う廃棄物、損壊家財道具、家屋撤去ごみ、被災事業場の廃棄物。水害ごみは含水率が高く土砂が流入しており、仮置き場の土壌は定期的に分析する。

 災害規模はマグニチュード6・9の市直下地震を想定。最大で約156万㌧(損壊家屋撤去廃棄物132万5215㌧、発災後1年間の片づけごみ23万3862㌧、し尿138㌧、避難所ごみ12㌧)と推計。事業活動廃棄物は原則、事業者責任で処理する。

 市単独で対応しきれないケースでは災害支援協定に基づき、関係団体と連携する。民間事業者団体とは県トラック協会足利支部が物資緊急輸送、レンタルのニッケン足利営業所が資機材の供給、市建設業協力会が災害時に関する協定を締結している。

 1次仮置き場は自治会長と協議しながら選定。土地所有者との調整、分別の徹底、不法投棄監視は住民の協力を得つつ運営。2次仮置き場は地域ごとに候補地を選定。1カ所の面積は3000平方mが必要。前面道路は幅員6m以上、間口は9m以上が望ましい。

 2次仮置き場の出入り口には門扉を設置。車両は左折で入り、場内は右回りの一方通行。搬入搬出車両の交互通行が円滑にできるよう配慮。地面に仮置きする場合、重機の移動や作業が着実にできるよう鉄板を敷設。周囲はフェンスで囲む。

 スレート板や石膏ボードはアスベスト含有の可能性があり、その他有害な廃棄物とともに他の廃棄物と離して保管。ブルーシートで覆い、飛散防止策を講じる。廃棄物はショベルローダーやバックホウで高さ5mまで積み上げる。散水は適宜実施する。

 可燃系混合物は必要に応じ、重機アタッチメントのアイアンクローで破砕する。セメント原燃料、建設土木資材、バイオマスボイラー用燃料(木くず)は再生利用につながるよう前処理する。損壊家屋の解体撤去は国の方針に基づき、建設業者に委託する。

 発災後は関係者と情報を共有し、廃棄物処理実行計画を策定。処理方針、発生量、処理体制、処理スケジュール、処理方法、処理フローを明示する。処理進捗状況次第で随時改定する。実行計画は処理業務の発注や補助金申請の基礎資料に役立てる。

 収集運搬時は災害廃棄物集積所や仮置き場の地図、道路被害状況の情報を整理。「緊急車両」の表示幕を準備し、資機材を可能な範囲で提供。災害時には水洗トイレが使用不能に陥る恐れがあり、市はくみ取り式やマンホール接続型の仮設トイレを適正数設置する。

 災害初期は生活ごみ、避難所ごみ、し尿処理を優先。その中でも腐敗性廃棄物は最優先で処理。畳、木材、金属くず、廃家電は早急に処理先へ搬出。処理目標期間は災害規模や災害廃棄物の発生量に応じ設定。大規模災害の場合、3年以内の完了を目指す。

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