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長野県企業局

水道管路耐震化 目標前倒し/重要施設ルートは23年度までに

2020/12/11 長野建設新聞

 県企業局は8日の県議会企業委員会で、県公営企業経営戦略の改定について説明した。「経営の安定と未来への投資」を基本方針に掲げ、水道事業では施設・管路の耐震化について当初目標を前倒して取り組みを加速化させる。

 2016年2月に策定した同計画は、向こう10年の投資・財政計画や取り組むべき事業を明らかにした経営計画。策定から5年を経て、すでに達成したものがある一方、社会経済情勢の変化により解決すべき新たな課題も生まれていることから、内容を見直し、21~25年度の5年間を計画期間として改定する。

 水道事業のうち末端給水事業では、基幹管路(送水管等)の耐震化の完了目標年度を現行計画の25年度から24年度に前倒し。このうち病院、学校・保育所、避難所などの重要給水施設に至るルートについては23年度までに完了させる。

 投資計画では基幹管路の耐震化事業費として21年度9億4200万円(うち重要給水施設へ至る管路分7000万円)、22年度7億4100万円(同3900万円)、23年度6億4800万円(同7000万円)、24年度6億3700万円を試算している。

 老朽化対策では、施設・設備、管路とも法定耐用年数の1.5倍の更新を基本とする。ただし、塩化ビニル管等については漏水事故による断水や赤水等が発生していることから、更新基準にかかわらず計画的かつ早期に行う。また、ダクタイル鋳鉄管はポリスリーブ巻付による長寿命化工事を実施する。

 投資計画では老朽化対策関連事業費として21年度5億8100万円(施設・設備2億1700万円、管路3億6400万円)、22年度10億8000万円(施設・設備7億1600万円、管路3億6400万円)、23年度11億1400万円(施設・設備7億3400万円、管路3億8000万円)、24年度9億4700万円(施設・設備5億6700万円、管路3億8000万円)、25年度14億500万円(施設・設備10億2500万円、管路3億8000万円)を見込む。


■諏訪形浄水場~千曲市は

■25年度までにルート検討

 末端給水事業の送・配水管の中で最も太く(直径70㎝)、最重要管路である諏訪形浄水場(上田市)から千曲市鋳物師屋に至る送水幹線(全体延長21.8㎞、うち更新対象18.5㎞)は、埋設から55年を経過し、計画的な更新が課題となっているが、総事業費に82億円が見込まれることや、幹線道路下の埋設であり、交通への影響、下水管等他の埋設物との調整を考慮する必要があるなど、技術的な課題が多くある。

 当初戦略策定後に実施した管内カメラ調査の結果、劣化の程度は低く、緊急に布設替の必要性を認めなかったことから、引き続き管路の内面調査による状態監視を行いつつ、25年度までに工事ルート等について検討する。

 用水供給事業では、関係市村の受水量見直しの検討状況に応じたダウンサイジング等を検討した上で、全ての管路の耐震化を当初計画から1年前倒しして23年度までに、浄水施設の耐震化を24年度までに完了することを目標とする。

 片平取水場(塩尻市)については、近年豪雨災害多発していることを踏まえ、上流からの流木・濁水の流入防止対策とともに、取水機能の強化などを検討・実施する。

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