県河川課は2019年東日本台風で被災し、改良復旧事業を実施している4河川の一部工事を今年度に前倒しする。永野川(栃木市)で9カ所程度の工事、思川(鹿沼市)で天満橋下流の工事を来年1月にも発注する方針。荒川(那須烏山市)では架け替える市道橋の落合橋の下部工と上部工、秋山川(佐野市)では統合堰下部工の年度内発注を目指して準備を進めていく。12月補正予算案に限度額64億円(2021~22年度)の債務負担行為を設定。前倒しによって整備効果の早期発現を図る。
永野川は延長約10㎞の区間のうち、用地買収を行わずに施工できる箇所に着手。工事は河道掘削や築堤工、護岸工などを予定。用地取得が必要な箇所は用地調査中で今後買収を進める。
思川は主要地方道鹿沼足尾線の天満橋下流で決壊した右岸側の工事を発注。思川では現在7カ所で工事が行われている。
荒川の落合橋は下流の向田地区の橋梁。新橋梁は橋長約101m、全幅6・2m(有効幅員5m)の3径間連続非合成鋼鈑桁橋を想定し、詳細設計に移行した。現橋梁の上流側に架設する計画。
秋山川の堰は海陸橋の下流に位置する左岸の飯田堰と右岸の向堰を統合。左岸下部工は入札済みで、右岸の下部工を前倒しする。ラバー堰で、上部工は来年度以降に左右岸を一体として発注される見通し。22年度の初頭までに工事を完了させる予定。
前倒し発注する工事は来年の出水期までに対応できる工事を行い、秋以降の渇水期に本格的に実施される見通し。21日の県議会県土整備委員会(佐藤良委員長)で県土整備部の橋本正人参事兼河川課長が説明した。
事業概要は永野川(大平町~皆川城内町)が延長10・6㎞、事業予定期間19~23年度、事業費約192億円。国道50号から赤津川合流部までの区間9・9㎞、上流に位置する藤川合流部の下流0・6㎞と上流0・1㎞が対象。掘削や築堤のほか橋梁の架け替えなどを進めていく。
思川(久野~口粟野)は延長3・2㎞、事業予定期間19~22年度、事業費約23億円。主要地方道鹿沼足尾線柳橋から上流が対象区間。
荒川(向田~藤田)は延長5・9㎞、事業予定期間19~22年度、事業費約60億円。向田地区の1・5㎞と藤田地区など上流の4・4㎞を対象に掘削や築堤、護岸工事などが実施される。
秋山川(植下町~大橋町)は延長3㎞、事業予定期間19~24年度、事業費約62億円。川幅が狭くなっている主要地方道桐生岩舟線の大橋付近は拡幅し、大橋や佐野市道の中橋の架け替えも併せて実施される。
4河川以外の改良復旧は壬生町の黒川(福和田~上稲葉)が採択。黒川は延長2・9㎞、事業予定期間19~21年度、事業費約4億円。必要な個所で掘削や引堤などによる工事が行われる。