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栃木市 下水道経営戦略、24年度に永野川雨水供用、農集排4処理区を統合

2021/02/06 日本工業経済新聞(栃木版)

 栃木市は、下水道事業経営戦略案をまとめた。計画期間は2021~30年度の10年間。公共下水道は未整備区域への拡大を効率的に進めていく。雨水処理は永野川左岸第1排水区雨水渠事業を推進し排水ポンプ付き樋門、調整池、幹線を整備。24年度の一部供用開始を目指し、市街地の浸水対策を強化する。農業集落排水は西方、大平両地域4処理区の公共下水道への統合を想定。計画期間内では28年度に西方西部処理区、30年度に西方本郷金井処理区を公共下水道に接続する。

 公共下水道事業は1982年度、農業集落排水事業は1993年度に供用を開始。2018年度から地方公営企業法を適用し、公共と農集排会計を統合。同時に上下水道局を新設し、下水道建設課、上下水道総務課、水道建設課の3課体制へ組織を改編した。

 公共の汚水処理区は県の巴波川流域巴波川浄化センター、渡良瀬川下流流域下水道大岩藤浄化センターの2カ所に接続。農集排は大平下皆川地区、大平みずほ西地区、藤岡巴波川南部地区、藤岡巴波川西部地区、西方西部地区、西方本郷地区の6処理区を有す。

 公共の供用年数は38年が経過。これまでに約712㎞の管渠を整備し、全体計画面積に対する整備率は68・1%。処理区域内人口は増加傾向にあり、整備を拡大する。19年度の約9万7000人から30年度には約10万7000人に達する見込み。

 農集排の供用年数は27年が経過。整備が完了した農集排は約96㎞の管渠を維持管理する。処理区域内人口は約8000人ながら、28年度の西方西部、30年度の西方本郷の2地区の公共下水道への接続によって目標年次の処理人口は約5000人に減少する。

 公共の有収水量は19年度の約862万7000立方mから30年度には約1011万4000立方m増加。農集排の有収水量は19年度の約61万9000立方mから30年度は西方2地区の公共接続で約47万5000立方mになる見通し。

 公共は下水道区域の拡大で接続人口が増え、使用料収入が増加。公共汚水処理の管路や処理場の更新費用は、県流域下水道負担金の形で支出。県は順次、管路の耐震化や設備機器更新に着手する。市管理では計画期間中に耐用年数の50年を迎える管渠はない。

 ただし目標年次満了後の31年度頃から耐用年数を超える管渠が発生。管渠整備は1998年度前後に集中しているため、2048年度前後に更新のピークとなる。管渠の一挙更新は財政的に困難なだけに更新サイクル延長、ダウンサイジング、工法を検討する。

 整備完了の農集排は未接続だった世帯が加わり、使用料収入が微増する。西方地域2地区は処理場更新に比べ、公共への接続の方が将来のコスト削減につながると判断。公共接続の西方地域2地区の農集排施設使用料は、公共下水道使用料に移る。

 大平下皆川地区、大平みずほ西地区の処理場の公共接続については、22年度の市生活排水処理構想の見直しの中で具体的に整理。市全体の最適な汚水処理手法を導く。県は22年度に広域化・共同化計画の策定を予定しており、情報収集と併せて研究を進める。

 藤岡地域の農集排処理施設の設備機器は巴波川南部が27年度、巴波川西部が31年度に耐用年数の20年を迎える。両地区の処理方法は特殊な真空方式を採用している上に、公共下水道までの距離が遠く接続は困難な状況。設備更新や運営方針の検討が必須。

 事業合計の収支計画は次の通り。

 ◇資本的支出(建設改良費)

 ▽21年度=16億5837万1000円▽22年度=15億2200万円▽23年度=15億6400万円▽24年度=13億1700万円▽25年度=13億3700万円

 ▽26年度=12億7300万円▽27年度=11億1300万円▽28年度=10億7600万円▽29年度=9億4800万円▽30年度=9億4800万円

 ◇収益的支出(維持管理費)

 ▽21年度=9億6048万6000円▽22年度=9億7571万6000円▽23年度=9億8959万3000円▽24年度=10億824万1000円▽25年度=10億1980万1000円

 ▽26年度=10億3037万5000円▽27年度=10億4006万4000円▽28年度=10億3837万2000円▽29年度=10億4649万6000円▽30年度=10億4414万3000円

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