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千葉県県土整備部

建設業の力が不可欠/インフラ維持と災害対応/渡邉浩太郎・県県土整備部災害・建設業担当部長インタビュー

2021/08/23 日刊建設タイムズ

 4月27日付の人事異動で県県土整備部災害・建設業担当部長に就任した渡邉浩太郎氏は「インフラの維持や災害対応には、建設業の力が欠かせない」との考えを示した。地域の建設業には、ICT施工などの推進を期待。「生産性の向上によって業界全体の繁栄を図っていきたい」と話した。県土整備部の主要事業として、産業の基盤づくりを促すための交通ネットワークの整備や、幹線道路の整備効果を波及させるためのアクセス道路の整備などを挙げた。さらに、入札・契約制度の改善を図り、効率的・効果的に運用していく方針だ。


 ――就任にあたっての抱負・展望をお願いします。


 渡邉 気候変動の影響で降雨が極大化し、災害の規模も大きく、広範になっています。災害発生時には応急対応や道路啓開作業を速やかに行い、県民生活を守ります。さらに、インフラの早期復旧に取り組み、必要があれば改良・強化を図ります。インフラの日常的な点検や維持にもしっかりと取り組みます。

 施設で守りきれない規模の災害に対しては、ソフト面を強化していく必要があります。日頃から、県民にハザード情報を伝えるとともに、市町村と連携しながら円滑・迅速な避難行動が実施できるよう努めます。

 インフラの維持や災害対応には、建設業の力が欠かせません。パートナーである建設業界の方々と連携して取り組んでいきます。


 ――東日本台風や鳥インフルエンザ発生の際に、地域の建設業が活躍しました。


 渡邉 東日本台風では、県全域で大きな被害が生じました。地域の建設業の方々には、2か月近くにわたる連日連夜の応急対応に加え、その後の災害復旧も担っていただきました。また、土木事務所と地域の建設業の連携の必要性を痛感しました。検証作業を通して、ご意見や当時のことを伺いながら、体制強化につなげていきたいと考えています。

 家畜伝染病発生時においては重機による作業だけでなく、消毒作業に千葉県塗装工業会の資機材や経験を生かしていただくなど、建設業が持つ能力が多岐にわたって発揮されました。

 

ICT施工等/の推進に期待

 

 ――地域の建設業への期待などをお願いします。


 渡邉 ICT施工、i―Construction、インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーションの推進に期待しています。工事だけでなく、調査・設計の分野においても、研さんを図っていただいています。

 県では、ICTの対象工事を増やしていく予定でおり、生産性の向上によって業界全体の繁栄を図っていきたいと考えています。


 ――県土整備部の主要事業を教えてください。


 渡邉 産業の基盤づくりを促すための交通ネットワークの整備が重要です。7月20日には、6市と連携して新たな湾岸道路整備促進大会を行いました。新規事業化された北千葉道路市川・松戸、2024年度開通予定の首都圏中央連絡自動車道大栄ジャンクション~松尾横芝インターチェンジ、4車線化に向けた都市計画手続きを進めている富津館山道路も推進します。

 さらに、幹線道路の整備効果を波及させるためのアクセス道路として、銚子連絡道路や長生グリーンラインなどの整備を進めていきます。合わせて、関係機関と連携しながら、身近な交通安全対策、舗装の修繕、無電柱化に努めます。

 港湾関係では、千葉港の埠頭の再編、館山港の多目的桟橋の整備、洋上風力発電のメンテナンス港としての機能が求められる名洗港の整備に加え、千葉港葛南中央地区の一部直轄化なども含めてしっかりと取り組んでいきます。


 ――入札・契約制度について伺います。


 渡邉 インフラの整備を地域の建設業界の方々に担っていただくには、入札・契約制度の改善にとどまらず、効率的・効果的に運用し、命を吹き込むことが重要です。県の各発注機関等に指導していくとともに、関連する要望があれば、意見交換等を通じて反映していきたいと考えています。

 


【略歴】

 わたなべ・こうたろう

 1963年生まれ。88年3月、京都大学大学院工学研究科修了。同年4月、入庁。真間川改修事務所副主幹、都市計画課副主幹、県土整備政策課主幹(八千代市派遣)、河川整備課主幹兼企画調整室長、建設・不動産業課副課長、葛南土木事務所長、河川環境課長、県土整備部次長などを経て、4月27日から現職。休日は少年サッカーチームのコーチを務める。

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