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国土交通省

【ダンピング対策】地図上で状況「見える化」/54市区に個別要請も

2021/10/14 本社配信

 国土交通省は、昨年度に行った入札契約実施状況調査の結果のうち、市区町村におけるダンピング対策の取り組み状況を「見える化」した。各市区町村を対象に、昨年10月1日時点の中央公契連モデルとの比較による最低制限価格制度および低入札価格調査制度の導入状況と、各価格算定式の

設定水準を地図上に色分けして示している。現状では、最新の2019年中央公契連モデル相当の算定式を活用する団体が大幅に増えた一方で、一定数の団体が依然として低い水準を採用する。国交省では今後、算定式の設定水準が17年の中央公契連モデル相当を下回り、一定の発注件数がある人口10万人以上の54市区を中心に、現状の算定式に対する課題を聞きながら、ダンピング対策の徹底について個別に働き掛けを行う。

 低入札価格調査制度および最低制限価格制度がいずれも未導入の市区町村は、全国で88団体まで減少。最低制限価格算定式の設定水準を見ると、17年の中央公契連モデル相当の水準を下回るのは政令市で2団体、市区は151団体、町村は189団体。調査基準価格算定式の設定水準では、政令市1団体、市区で116団体、町村で87団体が17年モデルを下回る。

 低入札価格調査制度では、一定の価格を下回る入札を失格とする価格による失格基準を設定することが可能。失格基準の価格水準を調査基準価格に近づけることで、適正な施工への懸念がある業者を適切に排除するなど、制度の実効性を確保する必要があるため、国交省では算定式の基準見直しと合わせて、調査基準価格を下回る受注における履行確保措置の徹底も求めていく。

 また、算定式を独自に設定している団体や、非公表としている団体もあるため、本年度に行う調査では、より詳細に状況を聞くことにしている。

 9月29日に行われた国土交通大臣と建設業4団体との意見交換会では、業界からダンピング対策徹底を求める声が上がったほか、建設技能者の賃金上昇を目指す上でもダンピング対策の徹底が重要となっている。

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