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県土連、市町ため池の耐性評価受託、サポートセンターを開所

2021/10/30 日本工業経済新聞(栃木版)

 県土地改良事業団体連合会は、農業用ため池の適正な管理や防災対策を支援する「とちぎため池保全サポートセンター」を宇都宮市平出町の県土地改良会館に開所。市町や土地改良区など管理者に、専門の技術者による相談や助言・技術指導などの支援を始めた。

 内容は①ため池に関する応急対策、補修、廃止、点検・管理方法や地元の管理体制づくりなどの相談②ため池の管理者に対する補修や適正な管理のための助言・指導③ため池の適正管理に向けた普及啓発―が柱。県土連ではため池保全プロジェクトチームを立ち上げ、農業水利施設機能総合診断士の国家資格を持つ16人が対応に当たる。

 近年、梅雨前線や台風などの大雨に加え、震度4以上の地震が多発しており、ため池の決壊などによる災害の未然防止が叫ばれるようになった。西日本豪雨によるため池の損傷・決壊を教訓に国は2020年10月、ため池の決壊から市民の生命や財産を保護する「防災重点農業用ため池に係る防災工事等推進に関する特別措置法」を施行した。

 本県の農業用ため池は530カ所を数え、このうち下流域に人家があり、ため池の損傷や決壊で、2次的被害が生じる恐れのある218カ所について県は、「防災重点農業用ため池」に指定した。サポートセンターの設置は特措法に位置づけたもので、県土連は防災重点農業用ため池を所有する市町から、ため池の劣化状況や地震・豪雨耐性評価を調査する業務の受託を始めている。

 南木好樹専務理事は「足利市の14のため池調査の受託を始め、約7割の市町から要望を受けている」などと話し、早くもサポートセンター設置の効果が現れた形だ。業務は個々のため池の耐震と豪雨解析、劣化状況の把握と機能診断など。

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