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栃木県大田原土木事務所

大田原土木 1工区4㎞に観測機器設置、蛇尾川砂防計画見直し

2021/11/05 日本工業経済新聞(栃木版)

 県大田原土木事務所が所管する那須塩原市の1級河川蛇尾川の総合流域砂防事業の全体計画が見直されることとなった。主要地方道西那須野那須線遅沢橋から上流12・7㌔を3工区に分け、床固工や帯工など河床を安定させる砂防事業を実施してきたが、経年変化により洪水時には生産された土砂が偏流・乱流を起こし、整備した構造物が洗掘され浸食。見直しは土砂の再移動による氾濫被害を抑止し、事業効果の発現に向け再検討する。今年度は土砂や洪水による流砂の堆積状況など氾濫対策計画を策定するため、1工区4㌔を対象に観測機器の効果的な配置調査と設置工事を行う。

 事業実施地区は那須野が原扇状地の扇央部分に当たり、洪水時の土砂生産が著しい箇所。上流山地から多くの生産土砂が扇状地に流出するため、県は1988年度から工区の最も上流部に当たる4㌔(1工区)について砂留工や床固工、帯工の施工を進めてきた。

 1工区は主要地方道矢板那須線の塩那橋から上流4㌔区間で、同県道から下流4㌔区間が2工区。2工区から続く下流側4・7㌔の3工区の整備を現在進めており、今年度は帯工1基を左右岸に分け発注した。3工区は床固工7基と帯工8基、護岸工450㍍を計画。

 蛇尾川の砂防事業は、17年度に基礎地盤コンサルタンツに委託し、全体計画を見直した。19年度には整備中の3工区について、国土防災技術が担当し計画を変更している。

 今回の見直しはこれまで整備してきた既設の構造物を有効活用するとともに、土砂の生産と流出状況、既存施設に与える影響などを出水期から渇水期にわたり観測。これらで得られた結果をもとに、洪水時における異常洗掘、堆積した土砂による護岸欠損と氾濫現象などのメカニズムを解析する。砂留工や床固など既設構造物の補修の必要性とともに、効果的な再配置などを検討していく。

 これまでに流砂観測計画検討業務を国土防災技術に発注。12・7㌔にわたり河床の状況を観測するとともに、土砂生産状況を把握するため1工区4㌔を対象に観測機器を最低2台、複数設置する予定。今後は設置箇所を決め、製作と設置工事を発注する見通し。

 見直しは観測結果を踏まえ、22年度にも全体計画策定業務を委託する計画。整備中の3工区を含めた整備計画を検討していく。

 砂防事業を実施している下流には、人家805戸に加え指定避難場所の横林と槻沢の各小学校、狩野公民館が立地している。また、緊急輸送道路の東北自動車道80㍍と国道4号が1200㍍、県道矢板那須線と西那須野那須線が各800㍍。鉄道はJR東北本線が通っており、これらの施設を保全対象に事業を進めている。

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