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国土交通省関東地方整備局(建設)

森北佳昭関東整備局長インタビュー/「地域建設業は重要」/利根川河川整備計画「鋭意努力」

2012/11/30 本社配信

 関東地方整備局の森北佳昭局長は日本工業経済新聞社が加盟している竹芝記者クラブのインタビューに応じ、主要事業や建設業を取り巻く現状認識などについて語った。地域建設業の重要性を強調しており、地域密着工事型の総合評価方式などにより「地域に精通して地域に貢献する企業が引き続き存続するような取り組みをこれからも進めていきたい」と述べている。また八ッ場ダム建設については、本体工事着工条件となっている利根川の河川整備計画策定を鋭意進める姿勢を示した。



 ―就任から2カ月が経過したが、あらためて抱負は。

 森北 関東地方は人口約4500万人、GDP約200兆円と、全国の4割近くという大きなウエートを占めており、首都・東京を抱えている大事な地域。その中で関東地整は社会資本整備を行っている。基盤づくり、地域づくりを担っており、責務は大きい。安全・安心の社会づくり、地域の活力と成長力の強化という大きな2つの視点で社会基盤を整備していく。私自身は1994年から2年弱、霞ヶ浦導水工事事務所長をしており、それ以来、関東地整に2回目の勤務となる。知っている職員が結構多いので、非常に心強く思っている。


 ―建設業を取り巻く現状や課題、展望について。

 森北 非常に財政が厳しい状況の中で、公共事業予算が削減されてきた。建設業を取り巻く環境は非常に厳しい中で、やはり昨年の東日本大震災で見られたように、災害が起こった時にまず地域の建設業が地域を支えているところが非常にある。地域の建設業を引き続き維持していくことが大事であり、いざ災害が起きた時に機能しないと、地域にとって不幸なこと。


 ―入札契約について。

 森北 地域密着工事型の総合評価方式を導入して、技術と経営に優れた、地域に精通して地域に貢献する企業が引き続き存続するような取り組みをこれからも進めていきたい。本年度、地域密着工事型をかなりの件数で取り入れている。総合評価方式については、非常に複雑化して、受発注者双方に負担が大きくなってきている。そうした中、施工能力を簡易に評価するものと、技術提案を求めて評価するものとに二極化していく方向に進んでいく。本年度の試行結果を見ながら、どういう風に持っていくのが一番良いのかを決めていく必要がある。


 ―今後の事業の執行方針について。

 森北 東日本大震災でハード整備の重要性をあらためて痛感させられた。ソフト対策も必要。圏央道、外環道、中央環状線の3環状の整備を鋭意進めていく必要がある。特に圏央道については15年度にはかなりの部分が供用できる見通しを持っている。外環も千葉区間は15年度目標ということで進めている。道路関係は3環状の整備が一番大きなプロジェクトであり、課題でもある。着実に進めていきたい。河川関係では首都圏の堤防強化を利根川、江戸川で引き続きやっていく必要がある。


 ―八ッ場ダムについて。

 森北 昨年、事業継続と政府で決定された。その決定を受けて、利根川の河川整備計画の策定を進めている。9月25日以降、利根川・江戸川の有識者会議を3回開催し、学識者のご意見を聞いている状況。引き続き関東地整としては、河川整備計画の策定に向けて鋭意努力していきたい。


 ―職員の技術継承について。

 森北 国交省は現場で物事をやっている。そのため現場力という言葉がよく使われるし、私も(職員への)着任あいさつで話をさせてもらった。地域に根差して社会基盤を整備していくためには、現場力を最大限に発揮していかなければならない。支えているのは職員。職員の技術、知識、経験、コミュニケーション力など、トータルでの人間力を発揮して、限られた人員の中で地域の期待にこたえていく。昔に比べて今はデスクワークの負担が大きくなり、事務所でもなかなか現場に出ていく機会が減っている。国交省は現場主義なので、デスクワークの負担を少なくして現場を見る機会を増やすことが、結果として技術の継承につながっていくと考えている。


 ―これまでで印象に残っている仕事は。

 森北 大体、河川関係の仕事をしてきた。中部地建に居た時は長良川河口堰の問題や徳山ダムを担当した。本省の技術調査課に居た時は、公共事業の抜本見直しが行われた時期で、事業評価の仕組みを担当した。本省の治水課事業監理室長時には八ッ場ダムを含めて、川辺川ダムなどを担当し、その後、九州地整河川部長としても川辺川ダムを担当した。振り返ると、ずっと話題のある事業を担当してきていて、それぞれ印象深い仕事をやってきた。


 ―趣味、休日の過ごし方について。

 森北 自宅は横浜だが、防災危機管理のこともあり、整備局の近くに住んでいる。基本的には土日もほぼ居ることにしており、あまり遠くには行かない。そういう状況なので、休日は近場の名所巡りなど。先週は氷川神社(さいたま市)へお参りに行ってきた。また体が資本なので、週1回程度、フィットネスクラブに行っている。それと野球観戦。出身が奈良県なので阪神ファン。以前はよく球場に行って見ていた。


【略歴】

 もりきた・よしあき。1955年11月6日生まれ。57歳。京都大学大学院工学研究科修。81年建設省。九州整備局企画部長、環境省水・大気環境局水環境課長、国交省水管理・国土保全局治水課長などを経て、9月より現職。

地域建設業の重要性について話す森北佳昭関東地方整備局長001141.JPG

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