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笛吹市長 倉嶋清次氏インタビュー

2013/06/19 山梨建設新聞

大型多目的施設「多機能アリーナ」の建設見直しを訴え初当選した倉嶋清次市長。昨年11月14日の就任から半年程経過した。公約通りアリーナは中止としたが、前市長が進めてきた大型建設事業は沢山ある。今後の事業の方向性や目指す市政について聞いた。



 -市長に就任して半年程経過しました。感想は


倉嶋  山梨県で生活して僅か13年。市長になるとは思わなかった。生活環境も随分と変わった。今は日々勉強だと思う。国家公務員を30年近く務めたとはいえ、市町村の行政トップとは全然違う。7万市民の期待に応えていく点でいうと、その重圧はかなり重い。今後も情報をいろいろ集め、市民と出来るだけ会話していくことが大事だ。


 -市のトップとして日頃から心掛けている点は


倉嶋   一つ目は私の28年間の国家公務員生活の中での反省。もっと国民のために24時間365日、公の人間として生きるべきだった。

 二つ目は国家公務員生活を辞めてからの13年間、一市民としての立場から市政というか地方行政を見つめてきた。

 これらをミックスして市役所職員を指導したい。職員も公務員生活を終えた時「本当に市民のため私は働いたんだ」と思えるよう充実した気持ちで勤務して貰いたい。また市民に対しては選挙時に公約とした「市民の声が届く政治」を第一にやらなければいけない。そのためにも色々な情報を公開していく。


 -注目の大型建設事業で多機能アリーナ建設は選挙公約通り中止としました。そのほかの事業はどのように考えていますか


倉嶋  八代ふるさと公園は工事完了に向かっている。今後はどのように活用をしていくのかが重要になる。首都圏の方が来場して1日充分楽しんで頂けるような公園にしたい。また砂原橋架け替えについては粛々と進めていく。JR石和温泉駅周辺整備で、駅構内へのエスカレーター設置を求める声がある。JR側は基準に満たないとして設置費用と運営維持管理を市へ要求している。設置費用は笛吹市が出しても良いが、運営維持管理はJRで負担してほしいという立場で交渉をしていく。バイオマスセンター建設は近く検討会を立ち上げ、どのように進めるべきか話し合うことになる。色々情報やデータを集め議論していく中で決めていく。


 -市の公共事業をどのように進めていきますか


倉嶋   整備をしていく所は色々あるが、どこに力を入れるのかが問題となる。最近新設より維持管理の時代と言われている。道路、橋りょうなど点検を行い、寿命を延ばし危険がないようにすることが大事だと思う。学校の通学路整備は喫緊の課題だ。また多種多様な公共施設が、合併前から引き継がれているので整理しなければならない。財政的にみても避けて通れない問題だ。


 -自民党政権に変わりました。期待したいことは


倉嶋   まずは人の命が一番大事。大地震が30年以内に高い確率で起きると言われている。家を潰さない、家具を倒さない、この2つさえ、しっかり出来れば犠牲者も大分少なくなる。例として家屋倒壊防止のための助成措置。そうすれば地元の大工さんも潤うのでお願いしたい。


 -市のこれまでの入札は大部分が事後審査型条件付一般競争。今後も継続しますか


倉嶋   継続する。基準を明確に透明性を高くし、地元業者に出来るだけ仕事が回るようにしていく。 



 -市の建設関係者にメッセージを


倉嶋   建設業界は地元雇用の受け皿。基幹産業でもあるので、頑張ってほしい。ただ公共事業に今後も潤沢に予算が付くのかは分からない。私は農林水産省にいたので建設業が農業に取り組んでいる例も知っている。建設業の方は機械装備もあるので、地域産業のパイオニアとして幅広い分野で活躍してもらえたら嬉しい。


 -休日の過ごし方は


倉嶋   最近は自動車で県内の神社仏閣や名所旧蹟めぐりをしている。市内にも沢山のお宝が眠っている。山梨県は他県にはない素晴らしい古代ロマンの里。ただ県民はあまり自覚していないように思えるので誇りを持って全国にアピールすべき。 



略歴

くらしま せいじ


1948年北海道旭川市出身。北海道大学農学部卒。72年に農林省に入省。92年に東海農政局企画調整室長、95年に農林水産大臣官房情報化対策室長、97年に九州農政局農政部長となり、2000年に農林水産省退職。12年に笛吹市長に就任。

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