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【稲田港湾局長に聞く】能登半島地震と2024年問題など/脱炭素で試行工事実施

2024/04/05 本社配信

 国土交通省の稲田雅裕港湾局長は2024年度のスタートに当たり、記者会のインタビューに応じた。3カ月が経過した能登半島地震、2024年問題スタートなどをキーワードに24年度を展望した。また、港湾工事のCO2削減へ2種類の試行工事に着手することも明らかにした。

 特に力を入れることとして、まずは能登半島地震への対応を挙げる。発災から3カ月を経て「これまでは応急復旧に全力対応。これからは本格復旧というステージに変わっていく。冬場の工事は厳しいため春夏秋の期間、一日も無駄にできない」と厳しさをにじませた。


 2024年問題について、港湾に直結する物流業界、建設業界とも上限規制が適用されたが「仕組みの変わり目だけ頑張るのではなく、これからずっと続くもの。それぞれの業界が持続的にしっかり発展していけるよう、制度面などに取り組んでいかなければならない」と先を見据える。

 11港湾が指定された特定利用港湾については「今後もニーズに応じて増えていくだろう」と見通し、そのために自治体との調整や枠組みなどの説明を行っていくことになる。

 大きな課題だった港湾のCO2削減は検討ワーキンググループの成果として「目標の設定とロードマップについて、年度の早々に公表できるよう準備を進めている。合わせて試行工事も行う。低炭素に資する装備を搭載した作業船、低炭素型コンクリートといったものに取り組んでいきたい」と状況を明かした。

 港湾の整備・維持などに関わる民間事業者に対して「物価上昇を上回る賃上げを目指すためには、現場で利益を出し、それを原資として賃上げを図ってもらう」とし、働き手のモチベーションを上げる非常に大事な部分とみている。

 1日には本省港湾局へ配属された21人の新人を前にあいさつ。新人たちが目をキラキラ輝かせているのを見て「初心に帰ってフレッシュな気分になった」。最近は転職者も多いことから「定着をしっかり図っていかなければ」と指摘。これからは「若い人たちの柔軟な発想が求められると思う。サイバーセキュリティ、DX、GXなど新しい分野を担ってほしい」と期待を込めてエールを送る。

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