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国土交通省

【ICT施工】ステージⅡで要領案/データ活用しマネジメント

2024/04/15 本社配信

 国土交通省はICT施工ステージⅡの進展で、データ活用による現場マネジメントの実施に向け要領案をまとめた。ICT活用が進んでいる土工事を基本に、施工管理として▽施工段取りの最適化▽ボトルネック把握・改善▽進捗状況等把握による予実管理▽その他(注意喚起、教育等)―の取り組みが対象となる。それぞれの実施事例をもとに受注者、監督職員が実施する内容が示されている。今後、新たな事例も想定され、要領案拡充を視野に入れている。

 施工段取りの最適化では、隣接工程の見える化による施工段取りの最適化を挙げる。主に受注者の実施内容として、隣接工程の状況(後工程への引き渡し時刻など)を見える化することで、待機時間の削減や多能工化等を行うというもの。例えば、ダンプの位置データを取得して、アプリで集約し接近通知を行うことでスムースな積込み準備・作業につながる。従来であれば到着時間が分からず不要な待機時間が発生するといった課題があった。誘導員の熱中症対策にも効果がある。

 ボトルネック把握・改善へは、稼働状況等の把握から対応する。例えば土工作業で掘削・積込・運搬・敷均しの一連のプロセスで、各作業機械の正確な稼働時間、稼働率、待機時間等を把握し、一連作業(現場内)の工程上のボトルネックを分析し改善を行うもの。

 進捗状況等把握による予実管理は、掘削・盛土工程の進捗管理による実工程に適した資機材等調整を挙げる。日当たり施工量を把握し、計画に対する実績の差をリアルタイムで監視、工程遅延を早期発見し対策が実施できる。

 複数現場を対象とした掘削・盛土工程の進捗管理による実工程に適した土配管理では、日当たり施工量、月間等一定期間内の施工量、運搬状況等を把握することで、複数現場の計画に対する実績の差を確認。状況に適した資機材等の手配の見直しなど工程調整をすべく、受発注者で協議を行う。

 注意喚起、教育等については、ダンプのリアルタイムな運行状況把握による安全管理として、位置情報から運行経路との対比、運行速度を把握し、法令順守の徹底や問題発生時の要因分析と早急な対応を実施する。

 リアルタイムな現場データによる安全管理ではAIカメラ等によりヒヤリハット情報の収集から事故リスク低減につなげる。


◎ちょこっと補足


 実施要領案に示された事例は、いずれも現場での実績のあるものだが、発注者側からの要請ではない。受注者側が自らのニーズとして、必要に応じて検討、取り組んでいるもの。現場でのニーズについてデータを活用した対応は今後も広がっていくことが見込まれる。

 隣接工程の見える化では、ダンプ到着時刻が分かることで、無駄にしていた現場の待機時間がなくなるメリットがある。ダンプの誘導員もダンプが来るまで、真夏の炎天下で待ち続け、熱中症のリスクもあり、その対応にも役立つなど、一つの取り組みでいくつものメリットが生まれている。

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