8月7日付で就任した。これまで道路の調査・設計から施工、維持管理まで、建設生産システム全体に携わってきた。担い手3法の改正では、大臣官房技術調査課で法改正や発注関係事務の運用指針の策定にも携わった。一貫して大切にしてきたのが「現場」だ。「机上で考えるだけでは見えない課題やその解決のヒントは現場にある」と強調する。
建設現場の生産性向上に向けては、i-Construction2・0を推進する。これまでICT施工やBIM/CIM、3次元データの活用などデジタル化が進み、さまざまなデータが蓄積されてきた。「今後は膨大なデータをAIで活用し、生産性や安全性の向上につなげる段階に入る。『データをつくる時代』から『AIを使いこなす時代』への転換だ」と展望する。
9月4日に公表した『国土交通省インフラ分野のAI実装に向けた取組方針』では、AIを現場で働く人の能力を拡張し、生産性向上を加速する基盤と位置付けた。「目的ではなく手段。新しい技術だから導入するのではなく、課題解決につながり、現場で価値を発揮して初めて意味がある」と語る。
「AIは現場のためにある。現場主義で実装を進めたい」と力を込める。現場ごとに条件が異なる自然条件や地域特性を踏まえ「AIが人に代わるものではない。最終的な判断や責任は人が担うべき」とし、それぞれの強みを生かして協働する建設現場を目指す。
地域建設業への普及も重視する。人口減少による担い手不足やインフラ老朽化、激甚化・頻発化する自然災害への対応などを念頭に「AIは大手企業だけでなく、地域の建設業を支える企業にとっても大きな可能性を持っている」と期待する。
目指すのは「国民、建設業、発注者の三方よし」の実装だ。「国民には安全・安心なインフラサービスの向上、建設業には生産性向上や担い手不足への対応、発注者には監督・検査などの効率化という効果をもたらす」と説明。「行政が一方的に技術を押し付けるのではなく、現場の声に真摯に耳を傾けながら三方よしを実現し、人とAIが協働する新しい建設現場をつくっていきたい」と意欲を示す。
休日は趣味の吹奏楽団でトロンボーンの練習に励む。「年2回の演奏会に向けて仲間と練習を重ねる時間が刺激になっている」と笑顔を見せる。
【略歴】わだ・たかし 1996年4月建設省入省。国土交通省近畿地方整備局浪速国道事務所長、山口県土木建築部長、国土交通省大臣官房技術調査課建設技術政策分析官、大臣官房参事官(道路交通連携)を経て8月7日から現職。早稲田大学大学院理工学研究科修了。55歳。神奈川県出身。

















